かつては朝ご飯の友として身近であった納豆だが、今では晩酌の友としての役割が高くなった。納豆そのものも良き友だがそれにマグロ、玉子、山芋、きざみ海苔、等々を加えればネバネバ成分がまして味もまろやかになる。ここ数年前からはとくに、晩酌の友に「納豆」の出番が増えたのである。焼酎、ホッビーを飲みながらの納豆のネバネバ感はけっこう相性が良い。ねばねばした口腔内を爽やかなホッビーが洗浄していくようでもある。これはご飯と納豆との関係以上の親密性かもしれない。それを箸でかき混ぜれば、程よいネバネバの食感と共に、渾然一体となった納豆の香りが鼻腔を刺激するのだ。
この味わいに目覚める前には、例えば「まぐろと納豆」というメニューをランチで注文するときなど別々に口に入れたほうが良いとしばしば思っていたのだ。けれども海鮮ものとねばねば食材は良く似合うということを実感した今、そんな思いは吹っ切れていた。夜には熱燗のつまみにして一杯。そしてその後は、御飯とセットで食したい一品なり。