三菱一号館美術館を訪問した。現在同美術館にて開催されている「近代への眼差し 印象派と世紀末美術」展を鑑賞する為である。同美術館が所有するコレクション作品の中から、ルノワール、モネら印象派作品をはじめ、ルドン、トゥールーズ=ロートレック、ヴァロットン…、等々の画家たちの、テーマに添って選ばれた149点が展示されている。
生で接したルノワールの少女像や裸婦像は、薄暗い展示室に在っても鮮やかな色彩をたたえており活き活きと見るものに語りかけてくる。まさに一級の具象絵画との出会いに相応しい。
オディオン・ルドンによる版画作品も、静かに夢の世界からのメッセージを語りかけてくる。描かれた19世紀の西洋人の姿形が示すのは切なくて濃厚でもあり、時代を経た人間同士の語りかけが交わされていたのである。
「画家たちの夢と理想 自由の輝き」というのが同展の副題である。今更の思いがあるが、西洋近代画が示す基本的なテーマとしての基本を表している。
印象派作品に接して西洋絵画を嗜むにはもってこいの企画展であると云えるのかもしれない。日本人にとっても西洋の印象派作品が好まれていることが、展覧会場に足を運ぶ多くの愛好家たちの姿を見ればわかる。だが特段にインパクトを有するテーマ性や目玉的作品は無い。