北海道富良野地方でよく食されているという「イカ塩辛のせジャカバター」を味わった。ほくほくのじゃがいもにバターと塩辛で味付けされた其れは、ほっこりとした大地の味覚に奥深さを付加している。
「じゃがバター」は全国共通のメニューだが、これにイカの塩辛をのせたというのが味噌ことポイントであり、いかにも味付けの味噌としての役割を、イカの塩辛が担っているのだ。最初にこのメニューを目にした頃は、塩気を加えるための塩辛だと早合点していたが、何度か口にしていると、其ればかりではなく、もっと北海道の郷土に根付いた歴史的味覚とも呼ぶべき要素の存在を感じ取っていたのである。イカとそのワタとが織り成す稀有な味わいが、じゃがバターの味わいに奥行きを与えていたとでも云ったらよいのだろうか?