村上春樹さんの最新掌編「ドライブ・マイ・カー」を読む

現在発売中の月刊文藝春秋誌に掲載されている、村上春樹さんの最新掌編的小説「ドライブ・マイ・カー」という作品を読んだ。

そうは売れていない役者の主人公の男性が、ちょっとした交通事故をきっかけにしてマイ・カーのドライバーを募集して、若い女性ドライバーがひょんな経緯により紹介され採用される。そして役者と女性ドライバーとの、新しい日常が始まっていく。ドライブに関しては非常な才能を持つ女性と役者の男性とがうちとけてきたそんなときのある会話がきっかけとなって、役者男性の過去のエピソードが明らかに、詳らかにされていく、と云ったストーリーである。

ドライブを行ないつつある男と女と過去の恋愛事情が交錯する、男と女の恋愛の苦悩をテーマにした86枚の書き下ろし小説であり、恋愛小説的にみればオーソドックスな筋立てであり、あまり春樹さんらしくはない。それでもやはり一気に読ませる村上春樹ワールドは健在ではあった。