奇才ボリス・ヴィアン原作の映画「ムード・インディゴ〜うたかたの日々」を鑑賞

何しろ原作が奇才としてならしたボリス・ヴィアンによる「うたかたの日々」だというので、先日から観に行きたくてしょうがなかったのだ。同原作は「永遠の青春小説」と評価されフランスで熱狂的な若者の支持を受けており、400万部以上のベストセラーをはくしている。おいらもかつて青春の一時期に読んで心踊らせたことを懐古する。

10/5にロードショー公開されてからもう一月以上が経っていた。都内新宿の映画館での終了日を過ぎた今日、もう一つ上映中の渋谷の映画館「シネマライズ」に駆けつけたのだった。

いざ始まってみた映画は、原作のイメージを通り越してキッチュでポップでさらには人工的なシーンの数かすに驚ろかさせられる。時代背景近未来なのか、或はヴィアンが生きた時代のパリなのかさえ判然としない。まるで大人のおもちゃを持て余す登場人物たちは映画の中ではしゃぎまくる。恋愛に驚喜する姿がキッチュな映像となって流れていき、次第に映像世界に順応したという頃、例の睡蓮の病が主人公を襲うのだ。

前半の作り物玩具的シーンは影を潜めて、後半に入るとモノクローム調のねっとりと湿度の高いシーンが胸を襲って来る。見応えあるのはやはり後半部分だ。キラキラと煌めいていた愛の儚さがまるで夢から覚めた現実を受け止めるかのよう。原作者のボリス・ヴィアンはキラキラとした才能を振りまいたが、彼の魂の底流にはリアリズムのリズムが流れていたことを感じさせていた。

■ムード・インディゴ〜うたかたの日々
http://moodindigo-movie.com/

■シネマライズ
東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル
03-3464-0051
http://www.cinemarise.com/