久しぶりに銀座1丁目の「奥野ビル」を探訪。1932年に竣工されたこのビルは、地下1階、地上7階建て。画廊やギャラリーが入っていて、様々なジャンルの意欲的な作品に触れることが出来るという希少なスポットである。
久しぶりに訪れてみると、1階入口のところは改装されてしまっていたが、ビル中の歴史ある重厚さは以前のままであった。ことに昭和初期のビル建築の象徴とも云うべき、2重の鉄格子に囲まれたエレベーターは以前のままであったのであり、数年ぶりの感銘もひとしおであった。先ずはいつものようにエレベーターで7階へ昇り、階段で下りつつの画廊巡りが始まった。
今回の探訪で最大の収穫はと云えば、鬼塚緑さんの殊更にユニークな「毛葬展」に出会ったことであった。女の命にも比される「毛」を使って人間の葬送を奏でるというような作品イメージに満たされていたのであり、おいらは其の衝撃に身震いするほどだったのである。作家の鬼塚緑さんは、人間の本当の姿をモチーフにして平面作品を制作していたが、2011年から立体と肉体の表現を始めたという。展示会場には半立体的作品が主であり、若き創造力を会場一杯に撒き散らしていたのであり、此れこそ奥野ビル内ギャラリーにぴったりのお勧めの美術展ではある。
■鬼塚緑個展「毛葬展」
7/15(月)~7/20(土)
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル206号
ART GALLERY 石
03-3561-6565