芥川賞落選作家島田雅彦さんの「島田雅彦芥川賞落選作全集」は全集制覇すべし

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「島田雅彦芥川賞落選作全集」を読んでいる。何しろ同文庫を手にしてすぐに、島田雅彦さんによる「芥川賞との因縁」というタイトルの前書きにひきつけられてしまっていたのだ。

今や芥川龍之介賞を選出する権限を手にしている選考委員の島田雅彦さんであるが、若い駆け出しの頃にはさまざまな身の周りの不条理に悩まされていたのだった。人気作家こと島田雅彦さんは、過去の若い頃においては将来の文学界を担うべき作家として嘱望されていたのであり、6つの作品が芥川龍之介賞の候補作になりながらも、ついには芥川賞を受賞することが無かったという、ある種の勲章をいだいている。云わば芥川賞受賞に引けをとらないくらいの勲章にも値するしろものである。

数十年ぶりに読んだ初期の代表作「優しいサヨクのための嬉遊曲」は、島田雅彦さんの原点であるばかりか、既成の文学界といった枠をぶち破る資質を有していたということを思い知らせていた。

6作品をよみおえてはいないが、読み終える価値ある全集であることを納得させられたのである。