フランス大使館旧庁舎にて去年末から続いているアートの祭典「NO MAN’S LAND」を再訪した。前回は陽が落ちた後の時間帯に訪問したので、昼の展示会場をぜひ見たいと思っていたのだ。
http://www.ambafrance-jp.org/nomansland
会場に着いたらびっくり。入場制限が出来るほどの大賑わい、大人気である。200名かそれ以上並んでいただろうか、長蛇の列なのである。前回は暗くて気付かなかった会場入口に設置されたダンボール製の門を潜る。ハッポースチロール等の素材を駆使したオブジェで混沌を表現した、ジャン・デュビュッフェを彷彿とさせるが、スケールはこちらのほうが上であろう。コンコンと門を叩くと、ダンボールの軽くてスカスカの質感が応えるのだ。そのギャップが面白い。
30分くらい並んだだろうか、やっと門を潜ると手前の棟はパスして正面奥の本棟へと向かう。前回は制作途中で進行が気になっていた作家の部屋を覗く。イメージさせるアートが、室内の壁全体に広がっている。都会を女子大生風のギャルたちがさかんに感心している光景が目に付く。こんな展示に接すること自体がまれな経験なのだろう。旧大使館の事務室、廊下、階段、踊り場など、いたる場所がアートの空間となっているのだ。
著名な建築家、ジョゼフ・ベルモンの設計による旧庁舎は、今月末までのイベントを終えると取り壊される。設計者にとっても大変満足なイベントとなったことであろう。日本のアーティスト、アート関係者もこのイベントの成功に見習いたいものである。