上州こと群馬県の県都前橋の市街地を流れる広瀬川は、遊歩道に沿ってツツジや柳が続く緑花が美しく、「水と緑と詩のまち前橋」を象徴している。広瀬川沿いには前橋出身の天才詩人こと萩原朔太郎の貴重な資料が所蔵される「萩原朔太郎記念・水と緑と詩のまち前橋文学館」が存在するのであり、帰省するたびにしばしば足を運ぶエリアなのだ。
萩原朔太郎さん関連の碑は市内に数多あるが、広瀬川右岸の比刀根橋近くにも朔太郎さんの詩碑があり「広瀬川」の詩が刻まれている。萩原朔太郎さんの「広瀬川」という詩には以下のごとくうたわれているのだ。
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広瀬川白く流れたり
時さればみな幻想は消えゆかん。
われの生涯(らいふ)を釣らんとして
過去の日川辺に糸をたれしが
ああかの幸福は遠きにすぎさり
ちいさき魚は眼(め)にもとまらず。
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■「広瀬川」詩碑
群馬県前橋市千代田町 厩橋下流広瀬川畔
市街地の千代田町五丁目銀座通り端には1981年に建立された「前橋望景の碑」が在している。「萩原朔太郎 前橋望景の碑」と刻まれた隣には、朔太郎さんが趣味で撮影していたかつての前橋市街地の写真の風景が刻まれている。進取の精神で撮影にのぞんでフィルムに刻んだ風景写真は、朔太郎さんが生きた時代とともに貴重な街の歴史的資料として、様々なメディアで公開されている。
■萩原朔太郎 前橋望景の碑
群馬県前橋市千代田町五丁目銀座通り端
つまりは纏めてみれば、前橋の広瀬川界隈は上州歴史散歩の臍的スポット、ということなのである。