武蔵小金井駅から数分の大衆居酒屋「百薬の長」に久しぶりに立ち寄って一献。何時もながらに呑兵衛のけたたましい声が店内にこだましている。鮮度の良い同店のもつ焼きは、その種類も多いが人気の部位は早めになくなっていくのであり、常連客は日もまだ暮れない夕刻からこの店へと足を運ぶのである。常連が陣取る店内のちょっとした隙に案内されて、いつものホッピーを注文した。
先ずはもつ焼きを塩で注文。豚のカシラ、ハツ、等々の鮮度の良いモツ類は焼いた後でサクっと歯で紙切れる。歯の悪いおいらでもその違いは歴然として感じ取ることができる。
モツを食べ終わった後でメニューを眺めたところ、充分に記憶している訳ではないがたしか「松前風百薬漬け」というものを見つけて注文してみたところ、これが意外にもナイスな味わいだったのであった。
北海道松前が発祥とされる松前着けはいまや全国区の漬物として人気であり、グルメ誌等で主に報道されているのは高級食材の「数の子」がふんだんに用いられているが、おいらが昔からつくって味わっていた松前漬けにはそのようなものはなく、昆布とするめのダブルなネバネバ食材をつかったシンプルかつ奥深いものである。
そんな「松前漬け」に新しい風味を与えていたのは、この店の「松前風百薬漬け」なるメニューである。そしてその新風の所以こそ切り干し大根という食材なのだ。冬の寒い季節に収穫した大根を細切りにし、広げて天日干しする。春には切干大根として流通しているのであり、それを水でもどせば新風的「松前漬け」の素材が完了する。
冬に収穫された大根の鮮度を保ったままの切干大根は、ツンとくる生大根の刺激をも感じさせている。松前漬けのニューウエーブとして、おいらの自宅にも常備していきたいメニューなのである。
■もつ焼き百薬の長
東京都小金井市本町5-12-15