以前に原作本を読んだ縁から、TVドラマの「ビブリア古書堂の事件手帖」を見る羽目に陥っている。
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今晩もまたそんな一夜の時間を過ごしてきた訳ではある。主人公栞子さんを演じる剛力彩芽がしっとりとした演技で良い味を出している。フレッシュさだけが取り柄の若手女優という評価は上向きに更新され、しっとり女性の演技が出来る実力派という評価が生まれつつある。
何よりもまず今回第六話の主役は、登場人物たち以上に太宰治さんの「晩年」であった。1936年(昭和11年)に刊行された文豪の処女作であり、唯一の自費出版作品である。コレクターならずとも必携であり、ファンにとってはぜひとも手元に置きたい一冊であることは確かである。そんな一冊に値する書物こそ太宰治の「晩年」であり、そんな希少なる条件に値する我が国文学作品の最高峰と認められるのだ。
おいらの所有する「晩年」はもちろんレプリカである。「ビブリア古書堂の事件手帖」にも本物ではなく偽者的復刻版の、レプリカが、わき役的配役の登場としての本物以上に重要なる要素を占めているのだ。レプリカと云えどもけっして侮ることなどできないのである。