「爆裂!アナーキー日本映画史1980-2011」を読んでいたのである。インパクト強く、編集スタッフの思いれぎっしりの一冊ではあった。
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表紙には若手有望株の浦島ひかり主演映画「愛のむきだし」のスチール写真で構成され、最初の扉ページには、「幻の湖」で疾走する南條玲子さんの写真がアップにて踊っているのだったのであり、このスチール写真にはいささかおいらも興奮の思いを禁じえなかった。これはまさに日本国のメジャー映画界のおきてやしきたりに反している。のみならずに、我が国の映画愛好家たちとは一線を画する評価基準が見えており、非常に面白いのである。
我が国の映画愛好家としてピックアップするならば、例えばネット掲示板界の第一人者として一世を風靡していた「赤煉瓦掲示板」主宰者の今井正幸氏は、たしかおいらとの掲示板上のやり取りの中で、「幻の湖」を観たことがないと語っていたのだった。こんな実験的意欲的作品を、こともあろうに映画マニアを任ずる今井氏が見ていたなかったということはすこぶる驚きではあった。しかも当時、何の興味も示さなかったことは、驚きを通り越して失望の思いを強くしていたものではあった。
南條玲子さんのデビュー作品である「幻の湖」は、それだけ意味のある日本映画界の鬼作的作品なのである。鬼作的逸品な「幻の湖」を再評価することにより、日本の映画界にも新たな光が垣間見えていくことになるだろう。「幻の湖」は日本映画界の名作にあたいする。