人生を旅した高田渡さんの「高田渡、旅の記録」

高田渡さんが没後にリリースされた「高田渡、旅の記録」と云うCDを、某リサイクルショップにて入手した。2枚組みのCDに43作品が収録されている。うちの10作品が「トーク」であり、渡さんならではの軽妙な喋りが収録されていて面白いこと極まれる。かつて何度か接したライブ会場でのトークに聞き入ってしまったときのことを想い出して止まないのである。

高田渡さんの人生はまさに「旅」と呼ぶに相応しいものであった。「演奏旅行」と称して全国各地を巡り各駅停車の旅をし続けていたのだった。かつておいらが写真展を行なうときに高田さんに挨拶に出掛けたのだが、「僕はいつも旅をしているので、写真展には顔を出せないと思います」と、ある種の素っ気無い反応を示されたことを、昨日のことのように想い起こしている。人生とは旅の如く。そして彼の旅とはまた、歩き続ける創作の日常的な生業其のものであったのであろう。

お酒が無くては生きられないくらいに耽溺していた渡さんの日常は、恐らく寿命を縮めてしまったことであろうが、酒と旅とそして人生を謳歌した高田渡さんに、あらためて「あっ晴れ!」なのである。