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デンマークの女流作家、ヤンネ・テラー女史による現代文学作品。13〜17歳の思春期の若者達が登場人物であることから、青春小説として扱われることがしばしばだが、その内容は厳か過ぎるくらいのものがあり、けだしこの作品を青春小説のジャンルに括るのは至極勿体ないことと思うなり。
大人が読んでも充分に読み応えがある現代小説として、グイグイとその作品世界に引っ張り込まれてしまったのだ。
ドイツ、フランス、オランダ、スペイン等、欧州各国の言語に翻訳されており、このほど我国日本語にも翻訳され、発刊の運びとなっている。欧州各国の読書家を中心に深く読み継がれている経緯も、成る程なと頷けるものがあるのだ。
「人生なんて無意味だ」と叫んで学校から立ち去っていったピエールと、彼の元同級生たちとの遣り取りをめぐって物語は展開していく。
どうせ意味のあるものなんて何もないんだから、何をしたって無意味だと気づいた日に、ピエールは学校へ来るのをやめてしまった。
さて、我国でもポピュラーなる登校拒否にまつわる話かと思われるかも知れないが、ストーリーはもっとずっとプリミティブかつ重たい展開を示していくのだ。決して甘っちょろい青春小説の類いで扱ってはならないと云うことを、再度強調しておきたい。
ピエールvs彼の元級友たち。「私たちは大きくなって成功しなくちゃいけない」と考えている元級友達のほとんどは、ピエールへの敵意をむき出しにして相対峙していく。先ずはピエールが気持ち良さそうに横たわっているスモモの木に対して攻撃を仕掛けたのだ。「あいつに石を投げよう」という、誰かの提案に呼応しながら、元級友達はピエールへの攻撃に精を出すこととなっていった…。
(この稿は続く)