仕事帰りの居酒屋でキムチ鍋を注文した。キムチ鍋はポピュラー過ぎて話題に上ることも少なくなったが、寒さが身にしみる時期になるとこの鍋がとても食べたくなる。温かいスープにカプサイシンが染み込んだ赤い唐辛子の粒を目にしつつ、口に頬り込むときの感触といったら、まさに鍋料理の醍醐味を味わう時のそれとほぼ同様のものだと思われる。鍋と云ったら「寄せ鍋」「鱈チリ」「すき焼き」「アンコウ鍋」等々限りなくあれども、その中でも「キムチ鍋」の存在は軽んじることの出来ない代物なのてある。
キムチ鍋の具材の取り合わせは、先ずはキムチ、そして豚肉、白菜、葱、豆腐、その他となる。赤いスープを見ながら食するキムチ鍋はとても食欲を刺激する。食欲のみならず人生に対するポジティブな指向をも生み出してくれることもある。決して侮れないのだ。
キムチの本場韓国、朝鮮料理においては「チゲ鍋」というもう少しエキゾチックな料理が主流となっているが、我国における「キムチ鍋」においては特別な韓国の調味料を使用する必要は無い。新鮮な白菜キムチがどーんと鍋の中心に控えていればそれで由なのだ。韓国のチゲ鍋はコチジャン等の調味料を多用するが、それらを使わない日本風のキムチ鍋が、くどくなく鍋料理を味わえることができるので、おいらの好物である。「キムチ鍋」と「チゲ鍋」とはどちらも美味しいことには違いないが、似て非なるものであると云えるだろう。日常的に食べたくなるのは「キムチ鍋」だということなのだ。
祝 清武解任