かつて地元の居酒屋で「タジン鍋」の料理を食して以来、タジン鍋に対する執拗なる関心を抱いていたおいらだが、このほどその「タジン鍋」を購入。早速的に、初のタジン鍋料理にチャレンジしたのでした。
今回の料理の基本コンセプトは、旬の鮭を使った「ちゃんちゃん鍋」風の蒸し料理。ご存知北海道の著名な郷土料理也。キャベツ、玉葱他の大地の恵みの野菜類をたっぷりと敷き詰め、北海道魚の象徴たる鮭を乗せ、そして味噌味で蒸すという、ダイナミックな料理である。今回はこれをタジン鍋を活用して作ってしまおうという試みなのだった。
とりあえずは最初の調理なので地元のスーパーにて調材を確保。大きめに敷き詰めた野菜に鮭の切身と味噌、バター、そして日本酒という、シンプルな味付け。
ガスの炎に当てられた鍋は、野性的に発火点まで突き上り沸騰したところで、スイッチ切り替えて弱火の炎に委ねたのだ。その間の時間的推移は12分あまり。少量の酒だけが水分としてあてがわれている限りの、極めて蒸し料理の基本に忠実な、ちゃんちゃん焼き風鮭蒸し料理が完成したのだ。
ちょっと味噌の量が多かったのか、それと火の掛け時間が長すぎたのか、野菜はしんなりを通り越してびちゃびちゃした触感となってしまった。鮭と野菜類との調和的料理の理想には残念ながら到達できなかった。
けれどもまた蒸し料理がこんなに手軽に手に届くということは、これからの家庭料理のレパートリーに光明を与えているような、可能性を呈示したのであった。これからますます家庭料理の愉しみがいや増したというべきであろう。