深刻な原発被害が続いている中、秋のサンマ(秋刀魚とも書く)が大漁だと云うニュースが流れてくる。居酒屋メニューにも「新サンマ」ものが目についてくるこの頃だ。塩焼き、刺身、タタキとある定番メニューに混ざって「なめろう」なるものを発見し、それを注文してみたのだった。
出されてきたものは、三枚に身をそがれて、サンマの頭と骨のとぐろ巻きの上にたっぷりと乗せられているなめろう。ご存知のようになめろうとは、身の部分をタタキにし、味噌や葱などをあわせてなお叩いてつくる、漁師料理である。食べ終わった皿をなめるくらいに美味しいということから「なめろう」と命名されたという説が一般的だ。
そして待つこと十数分、運ばれたサンマのなめろうとやらを口に運んでみたところ…。味噌の濃厚な味にサンマが負けていたのだった。アジのなめろうのイメージを抱いた当初の期待は、最初の一口でうちひしがれていた。サンマの身はアジとは違い、食感も味覚もともに繊細であるが故に、味噌の強靭な味付けには少々力負けしてしまった嫌いがあったのだ。味噌の量を減らしていたらこんな味にはならなかったのかも入れないが、果たして量の問題なのか? あるいはサンマの身の問題なのかは判断がつかぬまま、結論を出しかねていたのであった。
おいらはそのとき、こういう濃い目の味付けの料理こそ、ご飯と一緒に食らうべきだと考えた。そして焼きおにぎりを追加注文し、おにぎりにつけて食べることにしたのだった。そしてその結果は、至極満足のいくものだったのである。焼きおにぎりに、秋刀魚のなめろうはよく似合う。
上にのせた写真が美味そうに写っていたならば、そのことがよく伝えられるのではないかと考えている次第なのである。