サザエのつぼ焼きを味わった。思い返せば久しぶりだった。何年ぶりだろうか…。
地元でたまに足を止めて入る居酒屋だったのだが、そこは生きの良い食材が魅力的な店なので、たまにであるが懇意にしている場所である。
サザエはもとよりおいらの好物である。肝の美味さといつたらこの上ないくらいだ。その昔は伊豆だとか特殊な海浜地方に旅しなければ口にすることさえ出来かねていたという貴重な食材なり。
だが近頃はといえば、ちょっとした料亭だか日本料理店だかに足を運べば簡単に口にすることができるという、だが、おいらはそんな料亭だか日本料理店だかに足を運ぶ軍資金が足りないのであった為、ここ数年来はずっと我慢をし続けていたのであろう。そしてふと、地元の居酒屋にてメニューを目にし、先ずは注文と相成ったのである。
特に旬の時期と云うものは無いようだ、それにしても大降りで、殻の風体もピカピカしていたのでてっきり今が旬なのかと思いながら、一口ひとくちと口にしていた。海の潮の香りというものを味わうにはこれ以上の食材は無いかと云えるくらいの、ピカピカの香りが鼻を突いたのであった。
ところで話題は大衆的な方へと向かうのだが、大人気漫画&アニメの「サザエさん」の主人公が「サザエ」だということにはかねてから一抹以上の甚大な違和感を抱いていたものである。
サザエと聞いてピンとくるのは、あの毒々しくしてグロテスク、決して奇麗ではなく美や愛をイメージさせることが無い、云わば悪魔的ネーミングである。如何なる理由にて作者は「サザエさん」をネーミングしたのであろうかと?