今年3月の「八王子画廊散歩」に出品したことがきっかけとなり、地元の美術イベント等に参加することが増えてきた。本日は、八王子美術連盟が主催するデッサン会に参加したのだ。
会場は八王子市芸術文化会館、別名「いちょうホール」と呼ばれる4階建てからなる立派な会館。地元作家の作品展をはじめ色々なイベントが目白押しの会場だ。会場となっている最上階の「創作室」は高い天井から天窓が設けられており、天然自然光が室内に行き届いており制作活動の場所としては理想的なつくりである。
改めて基本的なことを述べて云えば、美術制作等の行為は極めて個人的な行為に属するのだが、かといって独立独歩で美術的創作活動の全てが実現するかと問えば、それは不可能であると答えるしかないし、独立独歩の精神と、地元作家・関係者達との交流とは共存させ得るものである。そう考えつつ、最近はよくこうしたイベントに足を運ぶことが増えているのである。
かつておいらは、デッサンやクロッキーと云うものを写実派的制作スタイルの強要とも捉えていたことがあり、美術学生の頃には出来るだけに、デッサン授業と云ったものには敬遠したがっていたものだ。だが改めてデッサン会等にてデッサンやクロッキーを行っていくことにより、個的な独立独歩的限界を拓いていくごときものであることを認識しているのだ。
彫刻家・佐藤忠良氏のアトリエを訪ねたある人物は、彼の描きかけのスケッチブックに興味を覚えてそのスケッチブックを譲って欲しいと頼んだところ、「舞台裏を見られるようで、それは勘弁してくれ」という答えだった。代わりに何も描かれていないスケッチブックを貰い受け、その後は大切な宝物にしている。つまりはそのくらいに、制作者は「舞台裏」を表に出したがらないということ。確かにこの思いの基本的心情は強く理解でき得るところだ。
だからと云う訳でもないが、おいらもデッサン会での描画等については写真に撮ってアップすることは控えることにした。いずれネットギャラリーやリアルギャラリーでの個展等では昇華した作品としてアップさせたいと考えているところなのです。