西荻窪「戎」の邪道系旨メニュー「イワシコロッケ」

居酒屋メニューの中にはウケを狙って顔を出すだけの邪道メニューが少なくない。特に激安を売りにしたチェーン店のメニューには、毎月毎月品を換えてそういた邪道系料理がメニューブックを飾っている。これは駄目だと思いつつも、1度くらいは試してみようかと、ついつい注文してしまうもののようなのだ。ほとんどが月単位、季節の変わり目には姿を消すが、ある一定の比率でこうした料理が店舗の売り上げを支えていることは疑いないのである。

ところがこうした邪道系メニューの中でも一定の、ユーザーの舌を捉えたものもたまに在る。西荻窪「戎」の「イワシコロッケ」は、地元の呑兵衛たちに支持された珍しい料理と呼んでも過言ではないだろう。

■イワシコロッケ
コロッケの具材の脇役は、牛肉、タマネギ、人参、あるいは山芋、茸、等々数在れどもあくまで主役はジャガイモである、とずっとそう思い込んでいた固定観念を覆させるかも知れないメニューである。レシピは簡単であり、通常のコロッケの具材のジャガイモにイワシがプラスされたというもの。半分がコロッケ、もう半分がイワシフライの味なのだが、妙にイワシの味がとんがっている。コロッケの主役がジャガイモではいけないのだと主張しているかのように、妙に口の中で生き生きとして主張するのである。イワシフライばかり食べていても、イワシの主張のトンガツタ様を感じることは無かったであろうが意外な味覚の主役となって、イワシの存在感を知らしめたのだと云うことになるのだろう。