「造反無理」政局の行方2 自民の手の内に落ちた民主のとほほ

こんな時期にもかかわらず、政治家というのは性懲りも無く権力闘争を続けている。どうも政治家という職業人たちは、権力闘争に現をぬかすだけの生き物と見えて仕方が無い。

菅直人を引き摺り下ろせば日本の政治は混乱に拍車を掛けるだけなのに、当の政治家達は誰もがそのことに口を噤んでいるのはどうしてなのか?

更にマスコミはマスコミで、そんな国民からのコメントは取り上げつつも、やれ次期首相候補が誰彼と云った、政治ショーをお膳立てしているばかりなのだから情けないのだ。

現政権の閣僚が担ぎ上げようとしている野田佳彦が仮に首相になったら、状況は好転しないどころか悪化することだろう。小沢派が党内抗争を仕掛けて来るのは目に見えているし、それどころか代表戦で小沢の息が掛かった原口一博あたりが代表戦を制す可能さえ現実のものとなってしまった。そうなれば今度こそ党内分裂は現実となるだろう。それこそが高みの見物しながら自民党幹部が描いているシナリオである。

こんなシナリオを崩す手が無い訳ではない。例えば亀井静香を与党の総理候補として擁立することだ。これならば自民党、公明党も、大っぴらには政局の手を打ちにくくなる。だがこんな手をとり得る政治家が民主党内には皆無の様なのだから仕方ないのだ。

このところ突如強まった菅直人降ろしの陰には、「脱原発」の動きを牽制するどす黒い人脈が存在すると見ている。与野党をとわず、そうした圧力は存在しており、それこそが「ことわりの無い」菅降ろしの実態に他ならないのだ。

現時点において、菅政権の続投以外にベターな選択などありえないのである。この際菅さんは「ペテン師」と罵られようが、脱原発の方向性をしっかりと打ち立てつつ、政権の維持を画策すればよろしいのだ。

だが残念ながら市民運動出身の菅直人には、そこまでの自覚や覚悟も無さそうである。やはり日本の政治のとほほ状態は如何ともしがたいものなのだ。