和風カレーの一つの方向性を示すのが「スープカレー」なのだ

北海道の札幌で誕生したという「スープカレー」。口コミなどからブームを発生したとみえ、近頃では東京でも頻繁にお目見えすることになった。さらっとした(つまりドロドロとしていない)カレースープが特徴なのだが、何度か口にするたびに思うことがある。このスープカレーこそは和風カレーの一つの方向性を示す料理ではないかということだ。

先ずはこのスープの和風な風味。このスープの出汁はといえば、鶏ガラ、豚骨、そして鰹節等がミックスされて大切に仕込まれている。店によっての違いはあるが、まるでラーメン店のスープのように、時間をかけてじっくりと仕込まれている。

そもそも印度や英吉利におけるカレー料理というのは、スパイスが効き過ぎているほどにきつく喉を突く。辛味だけではなく、各種のスパイスが主役となっているような料理である。それに比べて和風カレーというものは、何とマイルドなことであろう。小・中学校の給食で出されたカレーこそは、和風カレーのある種の典型を示している。だがそれ以上に日本人の味覚に合わせるようにして、スープカレーは誕生したのではないのかと、密かに感じ入っていたところなのである。

和食の良さの一つとして強調したいのは、そのスローフーズ的な調理法によるまろやかさである。和食とは一面で「刺身」に象徴されるような、素材の生の味を活かした調理法によるのではあるが、それだけではなく、じっくりと仕込まれたスープの出汁を活かした調理法が定着している。これはもう、印度や英吉利の料理には存在し得ない、日本独特の食文化であると云えるだろう。

おいらの好みは野菜をトッピングしたスープカレーである。地元のスープカレー店にて味わったそのメニューには、素揚げした人参、南瓜、じゃが芋、ピーマン、ナス、舞茸、蓮根、小玉蜀黍、ブロッコリー、等々の豊富な野菜が踊っていて、和風のカレースープの香りに包まれていた。カレースープの味も確かな出汁に包まれていて、至極満足したのでありました。