冬の恵みを味わう「イカ墨大根」なのだ

春の七草の一つにも数えられている食材が「大根」だ。「すずしろ」と雅な趣を奏でて呼んでいた野草が実はアブラナ科の大根であった。

七草粥に味を占めて調理してみたのは、大根を大降りにカットして作った大根煮。ときどき気が向くと圧力鍋を持ち出してやる定番料理なのだが、今回の食材のパートナーに選んだのがイカである。丸ごとイカには「イカ墨」と呼ばれる内蔵が存在し、この部分が得も云われぬ出汁となるのだ。

圧力鍋でじっくり煮込んだ大根にたっぷりイカ墨の出汁を吸わせれば、それはもう至福のイカ墨大根の出来上がりなのです。

大根煮といえばおでんにはなくてはならない具であり、おいらも「おでんの中で何が好きか?」と問われれば、「大根だ」と答えることにしている。実は以前は、多少日和っていた時期もあり、「牛蒡天」だ「ちくわぶ」だと云ってはいたのだ。

けれどもやはり「大根」の存在に敵う訳もないことを充分に認識し、今更ながらに大根の恵みの素晴らしさに感動したりもするのだ。