鍋料理の〆は、「雑炊」ではなく「おじや」なのだ

この季節は外で鍋料理を食することも多くなった。最後に〆で味わうおじやが楽しみの一つだが、近頃の店舗でのメニューには「雑炊」と表記されている。「雑炊」ではなく「おじや」だろうと常々思うのだが、ほとんどの店側の主張はあくまで「雑炊」なのだそうだ。

どこが違うかと考えてみれば、まずは汁の扱いである。「雑炊」と称するその鍋物は、追加で新しく用意したスープを注いでいき、スープ御飯のようにして食べさせようとする。元々「増水」という文字があてがわれていたというだけあり、違いは明白だ。本来は具材が溶け込んだ汁そのものを御飯に染み込ませてぐつぐつと煮るのが良いおじや作りに欠かせないが、この煮る作業もカットして、簡単に済ませようとする魂胆が透けている。これが邪道なのである。

正しいおじやを味わうためには店員が作ろうとする作業に口出しをしなくてはならず、これが結構面倒だ。特に居酒屋チェーン店の雑炊は、店員がおざなりにして調理すること多しなのであり、要監視だ。やはり鍋料理は店ではなく、知人友人と一緒に家で味わうというのが基本なのだろうとつくづく思う昨今なのでありました。