今年は国産松茸、中でも岩手産の松茸が豊作なのだという。例年に無く値段も下がっているという。価格が安い。まったくもって僥倖である。
そんなニュースを耳にして、松茸料理を注文することに決めていたのである。今年はすでに松茸料理は自家製料理の松茸御飯にて味わっているのだが、やはり今この季節の松茸料理を食したくなったのだ。
地元の料理店でも「松茸の土瓶蒸し」がメニューに出ていた。価格も手頃だ。材料は小ぶりの松茸に、海老、銀杏、鶏肉…。これらを専用の土瓶に入れて蒸し上げる。煮込んで松茸エキスを抽出した出汁をまず味わうのが、一般的な食し方とされている。出汁を飲んだら土瓶の蓋を開けてすだちを絞るというのも、当り前の作法とされる。高価な食材を扱うために、中々そんな壁を破るオリジナル料理に巡り合うことも無いようだ。
久しぶりに味わった「松茸土瓶蒸し」たが、食べた松茸の中身は甚だ少なくて豊作を実感することが無かった。料理店の食材として卸される松茸は、それほど安くはないということなのだろう。
ところで土瓶蒸しと云いながら、蒸すのではなく、器を火に乗せてグツグツ煮込むものも多い。地元料理店で提供されたのも同様である。目くじら立てるほどのものではないが、このいい加減なネーミングはどうなのだろう? やはり区別しておくべきなのではないだろうか…。