イナゴの甘露煮
昔は稲を荒らす天敵として田舎の水田にはよく見られていたが、最近は特別な場所にしか棲息しなくなってしまったイナゴ。このイナゴを甘辛くじっくりと煮詰めて甘露煮にした保存食である。かつては田舎における貴重な蛋白源として、とてもポピュラーであったと田舎のお祖母さんから聞かされたものである。バッタに似ていて細い足はかじるとパキパキ音がする。これが苦手という近頃の若者も多いらしいが、食べなれてくればこれが絶妙の味わいに感じるから不思議なものだ。
山賊焼き
鶏肉のから揚げだが、東京でよく食べるものとは味付けや調理法が異なっている。主にモモ肉を使用し、醤油とにんにくの付けダレに数時間置きじっくりと漬け込む。それに片栗粉をまぶして揚げる。素朴な料理だが、パンチのある味わいが信州らしい。これを蕎麦に乗せたのが「山賊蕎麦」であり、信州では天ぷら蕎麦にも負けないくらいにポピュラーなメニューとなっている。
野沢菜漬け
信州の野沢温泉地方が発祥の「野沢菜」を漬け込んだもの。今では全国中に出回っているが、やはり信州で味わえばその感動もひとしおなり。じっくりと漬け込んだその味わいはピリリと刺激するほどにワイルドで濃密。秋に種まきをして冬に収穫される野沢菜を年中味わえるようにじっくり漬け込んでいる。やはりこれも保存食の一つなのだと納得させられる。