村上春樹的ビールの飲み方の虚実

夏の猛暑日になくてはならないのが冷やしたビールであるが、こう猛暑日が続くと、胃袋も悲鳴を上げている。かといって猛暑をビール無しで済ますことはできないので厄介なのである。暑さを冷やすというよりも、暑さを誤魔化す、紛らわすといった効果を期待してビール缶に手が伸びる。

かつて、村上春樹さんは処女作「風の詩を聴け」にて、登場人物の鼠に次のように語らせている。

―――――――【以下「風の詩を聴け」からの引用】
「ビールの良いところはね、全部小便になって出ちまうことだね。ワン・アウト一塁ダブル・プレー、何も残りゃしない。」
―――――――【引用終了】

ずっと若いときは、名句だと感じて疑うことが無かった。ただ最近になって、必ずしも真実とは云えないということを感じとっている。ビールは飲めば飲んだぶんだけ、確実に身体に溜まる。小便として出て行くなどとは決して云えないのである。