本日は丑の日ということもあり、尚且つ伊豆に旅行中だということもあったので、首尾良く絶品の、三島のうな重にありつくことができたのでした。
静岡県の三島といえば、富士の雪解け水が流れ込む名水の地として有名だが、絶品のうなぎを置いて語ることなどできないのである。良き水のあるところに良きうなぎが育つという。すなわち美味しいうなぎを育てるには、そんじょそこらには無いくらいに良き水が必要であるということ。三島には、そんな良き美味しいうなぎが育つ条件が揃っている。全国的に有名な浜松と比べても決して引けをとることのない絶品のうなぎを味わうことが出来るのである。
開店間際の暖簾をくぐったのは「うなぎの不二美」。三島には「うなぎ横町」という専門街もあるくらいであり、その街中の名店である。いくつかあるメニューのうち迷わず「うな重」を注文した。
重箱の蓋を開けると、いつもの整ったうな重の姿が目に飛び込んできた。東京で食べている「うな重」との、とりたてて違いは無いようにみえる。だが箸でうなぎを刻んでご飯とともに口に頬張れば、その違いは歴然としていたのである。箸で刻んだうなぎの蒲焼は柔らかで、ふっくらと蒸しあげたということを示している。蒸して焼くのが関東風の基本であるからとても基本に忠実なことが判る。かつうなぎの味が苦味を含んで濃い味である。たれの味ではなくてうなぎの味がこれ程に染み渡る「うな重」は、滅多に有るものではないのだ。