カリスマ的な昭和の写真師、土門拳の作品を展望する展覧会が群馬の「高崎市タワー美術館」にて開催されている。帰省した帰りに立ち寄ってみたのでした。
土門拳が写真の世界に入った頃の作品から晩年のものまで、ほぼ全ての時代の代表作品が展示されていて、ファンにとっては必見の展示会とも云えそうだ。青少年の頃から少なからずの関心を示してきた土門拳であるが、おいらの知らなかったあれこれにも接することができ、有意義であった。
個人的に興味深いのが「風貌」のシリーズである。当時の文学者、芸術家をはじめ政界、財界の著名人たちの「風貌」すなわち「顔」を捉えた作品群である。梅原龍三郎の撮影では何カットも注文を付けた挙句に巨匠を怒らせてしまったというエピソードなどが知られている。たしかに梅原龍三郎のこうした表情を捉えた作品は、土門拳が初めてでありその後もあまり見かけた記憶などが無い。
晩年に土門さんが取り組んでいた「古寺巡礼」シリーズには、違和感がある。あまりにもこれみよがしのショットに、圧倒されるよりも前に、何か視線を逸らしてしまうのである。視線を集中し凝視することを躊躇ってしまうのである。何故なのだろうかこの感覚は?
■高崎市タワー美術館
群馬県高崎市栄町3-23
TEL 027-330-3773