むかしから「芸術の秋」とはよく言ったもので、毎年この時期は美術展が一斉にぎやかになる季節。今年も僕は、この時期恒例の「自由美術展」に、「妖かしの里」という作品を出展しました。「自由美術展」は、他の二科展等の公募展と異なり、1点を1段に飾るという丁寧な展示を行なっており、観賞するに相応しい展覧会です。都心の六本木近くにお越しの際には是非来場してご覧ください。
■第86回 自由美術展
2023年10月4日(水)~10月16日(月)
午前10時~午後6時(入場締切午後5時30分迄)
会場:国立新美術館
東京都港区六本木7-22-2
最終日は午後3時閉会(入場締切午後2時)
入場料金:大人800円
広々とした展覧会場を一巡し、会員達の居る事務所へ顔を出すと、いきなり八王子出身の石田貞雄さんのことを聞かれました。それがきっかけで、石田さんの思い出話に湧いていたのです。自由美術の重鎮として活躍し、惜しくも一昨年に他界した画家の石田貞雄さんは、晩年「埋む風景」という作品を精力的に連作し描き続けていました。今年の9月には八王子の「ギャラリー芙蓉」で遺作展が開催され、僕も当ギャラリーのホームページ制作に関わっていたこともあり、とても注目していました。石田貞雄さんの作品の解釈は多々あるようですが、僕には人工物によって反映&繫栄した大都会が、何時しか人災やら天災やらにより埋もれてしまった、未来の都会の風景を描いた作品に映っていました。まさに名匠の、将来を見据えて描いた、遺言的連作なのではないかと思う次第なのです。これぞ名匠の作品かと思われ。