高齢者専門の施設に入居している母の夏用のパジャマが足りなくなったということから、おいらは急きょパジャマの買出しにと走っていたのである。おいらが住む多摩地区八王子市内には、ほんの少し前までは「ダイエー」という総合スーパーマーケットがあったので、ほとんどの買出しは其処へと足を運べば済んでいたのだが、ところが、本年の2月には思わず知らずの閉店となってしまっていて、おいらは女性用夏向けパジャマをどのように購入すべきかしばし思案した上、隣駅の「豊田」へと足を運んでいた。此処には新規に、イオンのショッピングモールが開店したと聞き及んでいたのであり、ダイエーが潰れたらイオンで何とかなるさという、云わば安直な考えであったと今では思う。何となればショッピングモールと化したイオンショップには通常の衣料品店が見当たらずに、店先を賑わせているのがTVCMでよく見かけるブランドショップばかり也。ブランドショップにあらざれば衣料品店に在らずとも云うような、無言のメッセージを受け取りつつ、おいらは同モールを跡にしていた。実家のある群馬県内にはイオン風ショッピングモールが花盛りであるが、其の反面では旧市街地のシャッター通り化が顕著である。このまま廃墟にもなりそうな気配さえ感じさせる。イオンモールからの帰り道、ふと横丁を見渡すと、「セイユー」の懐かしい看板を目にして足を運んだところ、幸いにして其の昔ながらの衣料品売り場には、女性用の夏向けパジャマが並んでいて、おいらは其処で目的のパジャマを購入することが出来たのだった。所謂一つの、終わり名古屋的目出度しのエピソードかもしれないが、終わり目出度しにして置けない理由がある。それはイオン的ショッピングモールが、旧市街地の商業施設はおろか大衆的スーパーマーケットをも蹂躙して、消費者動向に邪な働きをもたらしているのではないかという疑いである。イオン的ショッピングモールは、日本の消費者生活をある意味で蹂躙しているという一面を見逃してはならない。渇!なのである。