ゴーヤチャンプルを食したのだが、その苦味にうっとり。ゴーヤチャンプルこそは、これからの夏には無くてならないゴーヤを素材にし、その苦みを生かしたメニューである。苦味食材といえば、春に旬を迎えるたらの芽、ふきのとう、タケノコ、等々あるのだが、ところがどっこい、其れ以上の苦みとして「ゴーヤ」「ニガウリ」と云った夏本番の食材に遭遇していたのである。ゴーヤは夏に旬を迎える食材だが、良い味わいを提供してくれるということを発見した。ゴーヤチャンプルはゴーヤを用いた代表的なメニューであり、そんなゴーヤチャンプルに舌鼓なのだった。此の苦味は尋常ではなく身体に染みてくるのである。あらためて述べることも無いが、ビタミンC群をはじめ健胃効果のある苦味タンパク質も豊富なのである。夏だけの食材としておくには勿体ないこと限りなのである。
ところで夏になって夏野菜のゴーヤが実るころから「ゴーヤチャンプル」は日本人の国民食となっている。そのルーツは云うまでもなく、沖縄の郷土食としてのチャンプル料理の歴史は長いのではあるが、今となっては日本全土に亘る郷土食と云っても過言ではないだろう。台湾や中国本土に近いという地理的背景から、「ゴーヤチャンプル」があたかも中華料理の亜流と捉える見方が無い訳ではない。けれども決して中華の亜流では無いことを、その味わいやら食材やらが物語っている。まずその出汁の基本が、鰹の削り節からとられていること。沖縄での肉は「SPAM」等のランチョンミート、本州等の他県では豚肉の切り身が用いられている。そしてカツオ出汁に卵とじの行程で全体が一つの料理として交わっていくのであり、チャンプル料理本来の円やかさが広がっていく。最後に削り節をたっぷりとかけて皿に盛られる。更にと云うべきカツオの底力が皿一杯に広がっていくのである。