まだまだ冬の真っ盛り。北日本や日本海側の地域等では大雪が降り積もっての様子なり。そんな季節においらは、春の風物詩でもある「菜の花」を一足先に味わって、春気分に浸っていたのだった。そもそもおいらが子供の頃には、菜の花は観賞するために在る花であり、食用にされることすら思い描けなかった。それが江戸の街に出て以来、食用に供されることを知り驚いたという、カルチャーショック的体験があった。花よりも蕾の味覚に感動する。蕾が花を凌駕するという形容が成り立つとすれば、春間近の蕾ばかりの春の「菜の花」の香り、味わいはまさに、花の其れをも凌駕すると云って良いのだろう。春のほろ苦い苦味が辛し味と出逢い複雑な春の味となる。菜の花の蕾の香りは寒々とした心を癒すかのようだ。