秋からの冬期になって、牡蠣が恋しくなる。今宵は「カキフライ」を口にして、やはり旬の時期ならではの美味に酔い痴れていた。おいらはあまり揚げ物が好物ではなく、特にフライものはほとんど望んで口にすることはない。だがこの季節のカキフライは別格なのである。この冬の時期の牡蠣は「マガキ」という種類が流通している。粒は大降りであり、磯の香りの風味も満点。衣に包まれた瑞々しい牡蠣の身が目に触れて、箸を付ける瞬間はとてもドキドキとときめかせてくれる。そして口に含んだときの牡蠣の味わいは鮮烈であり、期待を裏切ることもない。
旬のカキフライはこの時期ならではのものなのである。たっぷり分厚い衣の間から身を見せる牡蠣の仕草は、ブクッとしていて肉厚である。さらには濃厚な牡蠣本来の香りを漂わせている。子供の頃からカキフライは秋冬の季節料理の定番となっていたのであり、洋食はあまり好きではないおいらがこの時期こそと競って食べ歩いていたという逸品のメニューではある。これは最早洋食の範疇を超えて日本食の一つとしての地歩を築いたと云えるのではないか。