秋深しの季節の料理は、やはり鍋。ピリリとしたキムチのカプサイシンの味わいが恋しい季節でもある。そんななかで味わった今季初の「キムチ鍋」は、ほっこり温まって鍋料理の美味しさを満足させてくれた。キムチ鍋とはポピュラー過ぎて話題に上ることも少なくなったが、寒さが身にしみる時期になるとこの鍋がとても食べたくなる。温かいスープにカプサイシンが染み込んだ赤い唐辛子の粒を目にしつつ、口に頬り込むときの感触といったら、まさに鍋料理の醍醐味を味わう時のそれとほぼ同様のものだと思われる。
鍋と云ったら「寄せ鍋」「鱈チリ」「すき焼き」「アンコウ鍋」等々限りなくあれども、その中でも「キムチ鍋」の存在は軽んじることの出来ない代物なのてある。我国における「キムチ鍋」においては特別な韓国の調味料を使用する必要は無い。新鮮な白菜キムチがどーんと鍋の中心に控えていればそれで由なのだ。韓国のチゲ鍋はコチジャン等の調味料を多用するが、それらを使わない日本風のキムチ鍋が、くどくなく鍋料理を味わえることができるので、おいらの好物である。「キムチ鍋」と「チゲ鍋」とはどちらも美味しいことには違いないが、似て非なるものであると云えるだろう。