カレーがスープの様に使用されている「スープカレー」を味わった。鶏もも肉のカレー煮込みが大きく配置されており、逸品のカレー料理となっている。そもそもは北海道の札幌で誕生したという「スープカレー」。口コミなどからブームを発生したとみえ、近頃では東京でも頻繁にお目見えすることになった。さらっとした(つまりドロドロとしていない)カレースープが特徴なのだが、何度か口にするたびに思うことがある。このスープカレーこそは和風カレーの一つの方向性を示す料理ではないかということだ。先ずはこのスープの和風な風味。このスープの出汁はといえば、鶏ガラ、豚骨、そして鰹節等がミックスされて大切に仕込まれている。店によっての違いはあるが、まるでラーメン店のスープのように、時間をかけてじっくりと仕込まれている。
そもそも印度や英吉利におけるカレー料理というのは、スパイスが効き過ぎているほどにきつく喉を突く。辛味だけではなく、各種のスパイスが主役となっているような料理である。それに比べて和風カレーというものは、何とマイルドなことであろう。小・中学校の給食で出されたカレーこそは、和風カレーのある種の典型を示している。だがそれ以上に日本人の味覚に合わせるようにして、スープカレーは誕生したのではないのかと、密かに感じ入っていたところなのである。