上手いビールならぬホッピーに枝豆は欠かすることなどできず、多少の市場価格高騰にも目をつぶって良いものを手に入れて味わいたいと思っていたところであります。改めて書くのもなんなのであるが、「枝豆」というのは「大豆」が成長する前の、云わば未成熟のときのものを収穫しているものを指す。未成熟とは云えどボリュームも味わいも充分に一人前の体裁はとられており、何故に未成熟等と称されねばならないのかという、当事者達からの不満や異議などが噴出するかと思えば現実は決してそんなことは無く、極めて友好的な、枝豆と大豆との棲み分けはげんとして存在している。外野風情が余計な心配などすることもなかったという訳なのだ。居酒屋でホッピー(昔はビールだったが今は通風対策でホッピーなのだ)を注文し、つまみとして出された鮮烈なる黄緑色の枝豆を見る度に、このシンプルな取り合わせの妙には心を動かさせたのだった。つまりはこの未成熟期の枝豆は呑兵衛のために完熟後のライフを犠牲にしてこうして我国において最大ポピュラーな酒のつまみとなってここに居てくれるのかと、特別な感慨を抱かざるを得なかったのである。