地元の九州料理専門店にて、モツ鍋を食したのだ。今年も漸く長い冬にさよならしようかという季節に、こんな時にこそ美味い鍋を食しておかねばもったいないかと思ったのだ。鍋料理は多々あれども、モツ鍋は今季はそれまで食べた記憶が無かったから、早速そのモツ鍋を注文していたのだった。モツ鍋の具となるものは白モツと呼ばれる牛の小腸、或いはその他の内臓モツ類に、キャベツ、ニラ、玉ネギ、ニンニク、唐辛子が基本となる。スープの味付けは、味噌か醤油の濃い口のもの。キャベツとニラから滲み出る甘味と水分とが、具材に奥行きを加えてゆくのだ。モツの量はそう大量に入れる必要も無く、そもそもカロリーは低くて、しかも野菜の比重が高いことから一時は「ヘルシー鍋」とも称されていたことがあった。煮込んだモツは柔らかくなるが、シコシコしたその食感を噛んで味わうのが楽しみの一つだ。そうこうして鍋の具を食した後には〆となるのだが、今宵は特別に「沖縄ソバ」を注文したらば、これが当たりだったのである。こくのある甘辛いスープを吸って、中華麺よりも食べ応えがあり、しかもうどん麺のようには胃袋への負担感も少ないのである。モツ鍋と沖縄ソバとの相性の良さを知らしめるには充分であったのだった。