自宅から遠いのでめったに行かないが、少々遠出して、「まかど」の手打ち蕎麦を食べて年越し。奇をてらわぬ更科系蕎麦麺はオーソドックスな味わいで、鰹出汁が利いた蕎麦汁と相まって、〆の食事としてはそこそこのものである。昔の大晦日は長起きして翌日寝坊のパターンだったが、もはやそんな習慣も消え失せている。紅白など気にせずに早寝をしようと思う。
■まかど
東京都八王子市子安町1-30-7 建功ビル1階
月曜日定休
八王子夢美術館を訪れた。現在開催されている展示は「夢美エンナーレ入選作品展」である。以前にも取り上げた阿山隆之さんの作品が展示されているということを知り出かけたのである。何時もの大胆に動物を描く筆致に魅了されていたのではあった。さらには、常設展示のコーナーにて、銅版画作家の清原啓子さん作品に接することができたのでラッキーであった。夭折の銅版作家として八王子の美術関係者には名高い彼女の作品に接して、その途轍もなく凝縮された作品世界の襞に触れたのである。お勧めの展示会ではある。
■八王子夢美術館
http://www.yumebi.com/
東京都八王子市八日町8-1 ビュータワー八王子2F
TEL. 042-621-6777
久しぶりに池袋を訪れていたおいらは、東口から数分の居酒屋「ふくろ」のドアを潜っていたのだった。此の地域というのは「美久仁小路」という一角であり、古き昭和のレトロの雰囲気が息づく地域である。そんな由緒正しき「ふくろ」の美久仁小路店にて一献傾けていたという訳なのではある。
■ふくろ池袋美久仁小路店
東京都豊島区東池袋1-23-12
まだまだ続く寒さに負けずにとしておいらが真っ先に注文したのが「ハマグリ鍋」という鍋料理。まだまだ鍋料理の需要は衰えること無いことと共に、ハマグリの鍋という一風変わった取り合わせに関心を持ったからではの注文ではあった。
内蔵に優しいハマグリ貝の独特の出汁とエキスが溶け出して美味かったことは確かなのである。だが所謂一つのハプニングが訪れた。それはハマグリの二枚貝が開く前に、火種が途絶えて鍋の火が消えてしまったことであった。店員のレディー達は事情を察して、瞬く間に生煮えのハマグリを厨房の火にかけて二枚貝の口を開かせたのであり、まさしく不意のトラブルに対する真摯な対応であり、そんな行為自体にはおいらも好印象を持っていたのである。調子に乗っておいらも、雑炊セットを追加注文。お椀にたっぷりのご飯とともに、生卵、葱の切り身、味噌だれ、出汁スープが並んで、結構な〆の雑炊にありつくこととなっていたのである。
先日は、地元の居酒屋にて美味い牛スジ煮込みの料理を味わっていたこともあり、おいらはとても牛スジ煮込みに拘りが強くなっていた。そして地元のスーパーにて牛スジ肉を見つけた途端に、牛スジ煮込み料理を作ろうと決めたのであった。
先ずは上に写真を記したのが、地元居酒屋にて提供された牛スジの煮込み料理である。とても美味しい逸品。牛スジから滲み出る出汁の味を丁寧に利用していて、他の調味料はといったら無いに等しいくらいのシンプルなものなのだが、これがググっと味覚を抉ったのだった。余計なものを排した日本料理の王道を行くものだとさえ思えていたものなのである。
対抗しておいらは圧力鍋を持ち出して作ったのが上記の料理である。20分ほどの圧力鍋にての調理で、硬い牛スジが柔らかく調理され、その出汁を利用活用することができたのである。シンプルな牛スジ料理法の基本を踏襲しつつ、おいらなりの牛スジ煮込みを作れたので満足なのである。
ここ数日の当ブログはと云えば、冬のほっこりシリーズに偏っていることを自覚しつつも、本日もおいらはほっこりメニューを求めていたのだった。本日作った料理はと云えば、日常的に作られるクリームシチュー。ただしいつもと違っていたのは、冬南瓜をたっぷりと使ったこと。牛乳ベースのスープに南瓜の甘くてまろやかな味覚が融け合って想像以上にほっこりと温まることができたのだった。
シチューに代表される洋風メニューには、牛乳等の乳製品が主要な地位を有しているのであり、和風料理には見られないものだが、山なめこを和風料理にばかり限定させていては勿体無いのであり、敢えて洋風のシチューに用いてみたのである。酒のつまみとしてもナイスであった。
冬至は昨日だったのだが、残念ながらかぼちゃ料理を作る時間もなく過ぎ去ってしまっていていと残念だった。かぼちゃを買って帰路に付いたが、調理する時間的余裕が無かった。というわけで本日はかぼちゃを使った「ほうとう」を作って食したのである。かぼちゃを使った代表的料理には「ほうとう」がある。近頃は都内のスーパーにもほうとうの麺が売っており、今日はそれを使って調理することにした。
この時期の旬のカボチャの甘い味がスープに溶け込んでいて、正統派の美味いほうとうにありつけたので満足だった。他の野菜に比べて頑強なボディである。緑黄色野菜の仲間で、細胞の老化を予防するβカロチンが豊富である。
冬至の時期にかぼちゃを食べると風邪を引かない、長生きする、等々ということわざが有名であるが、確かにこの季節のかぼちゃは天然の甘味満点であり、寒い季節をほかほかと中から温めてくれることを感じていた。
寒さが身にしみる昨今は関東風のおでんが美味しくなった季節である。だがおでんは近頃何度か接していたが、あまりおでんを食した気分にはならなかった。立川で途中下車して、おでんを頬張っていた。寒い夜には熱々ふうふうのおでんに限るのであり、途中下車したかいがあったというものなのだった。
其の酒場には、旧来のおでんとネタと共に、新しきおでんネタと称すべき様々なネタがあり、古くからのおでん種の他に、例えば「オムレツ」「タコ串」「チーズじゃがいも」等々のメニューは、マル、三角、四角の定番的旧おでんネタと共に、おいらの好奇心と胃袋を刺激していたのだ。おいらの好奇心と胃袋を刺激していたのだ。
冬に温かいおでんを頬張ればお腹も心も温まり、居酒屋巡りの醍醐味を味わえるのだった。おでんをお替りしたのは珍しいくらいだが、それだけ温まってきました。
アーシル・ゴーキーやジャクソン・ポロックらと共にアメリカの抽象表現主義を先導したウィレム・デ・クーニングの展覧会がブリジストン美術館にて開催されている。日本初公開作品27点を含む全35点の作品が一同にかいした企画展であり、この機会を逃したら一生出逢えない作品たちに逢うべきと、遅ればせながらおいらも訪れたのであった。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/
■ブリヂストン美術館
〒104-0031 東京都中央区京橋1丁目10番1号
月曜日休館
開館時間10:00〜18:00(毎週金曜日は20:00まで)
■ウィレム・デ・クーニング展
2014年10月8日(水)〜2015年1月12日(月)
先述したようにデ・クーニングが戦後のアメリカ美術界を先導した作家であることは確かなのだが、これまで彼の作品に直に接する機会は無かったと云って良い。画集やネットを介した其れらとは違い、ガツンと語りかけて来る作品群なのであった。
」「歌う女」「水の中の女」「青い眠の女」「茶色の髪の女」「風景の中の女」等々の作品たちがここ狭しと並ぶ。それら作品は、通常見かける女性像とはかなり異なり、もがれてバラバにされた女の部分らを、極めて乱暴にぶちまけられたようなイメージである。生涯を掛けてその「女」という代表的モチーフを追及し続けた稀有な作家がデ・クーニングなのだ。芸術家にとって「女」というテーマは、他に代えられぬ希少性、貴重性を持つテーマであり、女をテーマに生涯を捧げたデ・クーニングに天晴なのである。
葛飾の立石は下町風情が満開なので、おいらは度々訪れている。今回訪れたのは「江戸っ子」というお店。もつ焼きや煮込みが美味いと評判の地域定番的居酒屋である。同店オリジナルの「ボール」というハイボールの一種と思われるアルコールで喉を潤していれば、食欲は益々充溢していていく。葛飾区内下町呑兵衛達の聖地たるにゆるぎのない名店である。
今回注文したのは野菜カレーなる、日本人のソウルフード的な珍しいメニューであった。インドやタイのカレーではなくて、トロリとした小麦粉の食感が効いた日本のカレーであり、此の店のメニューだけあり、モツの出汁が効いている。「ボール」との相性も良くてほろ酔い心に舌鼓を打っていた。
■江戸っ子
東京都葛飾区立石7-1-9
03-3694-9593
豚の子宮をボイルしたものが「コブクロ刺し」であり、食感はと云えばおいらが大好きな種類の、適度にもっちりそしてまた、コリコリとして、噛み応え充分ありである。刺身とはいえども実際は、ボイルされて提供される。数あるモツ刺しの中でもおいらの好きなメニューである。そもそもコブクロ(子宮)とは、人間を含めて女性の哺乳類における生殖器のひとつであり、これを食すると云うことは女性器の一つを身体に含めると云う行為を指しているのであり、これはおいらも含めて男性人にとっての、所謂一つの女性ホルモン摂取の行為ではないかと考えている。男子たるべき人間が、簡単に味わってはいかんという構えは持っていたはずだが、ついつい欲に任せて注文してしまうのだ。ところではてな、女性人はどうなのだろうか? あまり焼肉、焼トン店にて女性が「コブクロ」を突付いている姿は記憶に無いものである。
こんな時季は「牡蠣鍋」に限るのである。牡蠣が美味しい季節となっている。こんな時季は「牡蠣鍋」に限るのである。牡蠣は冬季の主役になり得る食材である。社会一般的には「海のミルク」等とも呼ばれるが、コクや味の個性においてミルクの比ではなく優れているだからこその「牡蠣鍋」を十二分に味わえる季節は、今を置いてないということが云えよう。繁華街の横丁の居酒屋で、そこそこと美味なる「牡蠣鍋」に遭遇することとなった。冬の季節に牡蠣鍋が美味いことは論をまたないが、本日という冬日の日に、其の夜間において、牡蠣鍋は特別な存在感を示していたことを記しておきたいのである。なんとなれば冬の寒気には牡蠣の苦味とコクがとてもおいらの喉に心地よく触れていたということなのだ。冬の夜に「牡蠣鍋」がすこぶる美味いことには理由がある。其の訳の一端として考えられるのが、豊富なるカルシウムの存在である。牡蠣は冬季の主役になり得る食材である。社会一般的には「海のミルク」等とも呼ばれるが、コクや味の個性においてミルクの比ではなく優れている。薄曇り色していた牡蠣のむき身が、熱湯をくぐっていたその先には、ぷっくりとして白鮮やかな牡蠣の身が、視線を和ませてくれたり、美味しさの手引をしてくれたりと、大活躍なのではある。だからこその「牡蠣鍋」を十二分に味わえる季節は、今を置いてないということが云えよう。ほかほかと温まった最後には「饂飩」を注文していた。出てきたのは太目の噛み応えのあるもの。具材のエキスを吸って濃縮されたスープは多少の塩辛さが気になっていたのだが、太目の饂飩がスープのエキスを吸っており、想像以上に濃厚な味わいがグッドなのではあった。
イカの焼き料理は多種類があれども、普通のイカの焼き物はと云えば、一夜干しを焼いたものが美味いのである。殊に東京の居酒屋で喰らうイカ焼きは、生イカよりも一夜干しのイカに限ると云ってよい。生よりも、あるいは相当日干しされたスルメイカの類よりも、一層のイカの味覚が凝縮されるのが、一夜干しイカの焼きメニューなのである。
ところで日本人は世界一「イカ(烏賊とも書く)」を食べる国民であると聞いて誰も驚かないが、日本の魚介類の中で「いか」が一番食べられていると云われたならば、多少意外な感じがしないであろうか? マグロやアジやカツオといった魚類は、料理店やスーパーマーケットの鮮魚棚には大量に並べられ、日本人の口から胃袋へと運ばれているのだが、イカの多くはスーパー、料理屋、魚屋で売られる以上に、コンビに等で売られている「スルメ」「サキイカ」「イカ軟骨」等の加工品、酒のつまみとなって日本人の胃袋に運ばれているものとなっている。コンビニで目にする加工品とは少々違い、グルメに好まれる酒のつまみが「イカの一夜干し」である。八戸や房総や北海道の産地にて取れたイカを、その土地で一夜干しにされるものが大変美味なのである。生で焼いたイカの場合は少々独特なえぐみがあるのだが、それが取れてしかもしっとり柔らかなる豊穣な味わいは、まさに「イカの一夜干し」ならではのものである。タウリン、亜鉛等の必須成分を多く含み、EPA、DHAという血栓予防の栄養素を有しているから、もっと注目されて良い食材である。
現在、世田谷美術館では「難波田史男の世界 イメージの冒険」という企画展が開催されている。
■世田谷美術館
東京都世田谷区砧公園1-2
TEL 03-3415-6011
月曜日および年末年始は休館
■難波田史男の世界 イメージの冒険
2014年12月6日~2015年2月8日
難波田史男という美術作家に強い関心を持ったのはつい最近のこと、桐生の「大川美術館」で彼の作品に接したことがきっかけだった。難波田龍起という抽象美術家の次男として育ち、32歳で不慮の事故に依り早世したという境遇とともに、何よりもそのペン画の自由闊達さ、固定観念に縛られないイメージの飛翔感、そして生涯に残した膨大な作品量、等々に魅了されたのである。
今回の特別展を観てまわり、その思いは一層強まった。特に彼の20代前半の作品群、「モグラの道(11点組)」「イワンの馬鹿(12点組)」「サン・メリーの音楽師(7点組)」には圧倒される思いがした。