いぶりがっことは秋田の名物なり。此れを秋田人にばかりに独占させておくのは不条理である。大根を原料として漬けられた沢庵の様な漬物をあぶって製造されるのだが、沢庵とも他の大根漬けとも異なっていて、正しく秋田の郷土色の筆頭と目されている。
都内の特別な居酒屋にて提供されているいぶりがっこもまた、秋田の味覚を東京人への橋渡しをしているようであり、注文も途絶えることが無いようなのだ。此のメニューを目にしたらとりあえず口にしてみるのが習わしとなっている。おいらのお勧めメニューである。
立川にある餃子専門店「ニューヨーク」にて一献。此処の餃子は手作りの手打ちメニューであり、これがニューヨークスタイルなのだという。中華料理の代表的メニューがニューヨークスタイルで味わえるという稀有な餃子専門店である。基本的な餃子のレベルが高いので、基本的な餃子以外の所謂「変わり餃子」も安心して注文することができる。今回食したのはそんな変わり餃子の3品。期待を裏切らない出来栄えであった。
■パクチー餃子(水餃子)
手打ちの良さが生きるモチモチした食感の餃子の皮と餡の旨さを基本にして、タイ料理には欠かせない香菜のパクチーを添えて提供される、水餃子である。清冽なパクチーの香りが、水餃子を一層インパクトの高い個性的な味覚に仕上がっている。
■ニンニクにら餃子(焼き餃子)
通常の餃子にも用いられるニンニクとにらの具材を多めに餡に入れて提供される。ガツンとした餃子の餡のインパクトが舌に伝わってくる。基本的な焼き餃子でありながら個性的なインパクトを有している。
■冷製トマトとバジルの水餃子
夏季の限定メニューとして提供されている。茹でた水餃子のスープに、冷やされたトマトとバジルがアレンジされているのが特徴である。まるでイタリアン風の味付けが水餃子を新しいメニューとしてアピールさせているようである。
■餃子のニューヨーク
東京都立川市曙町2-15-22
http://tabelog.com/tokyo/A1329/A132901/13053556/
猛暑の日々が続いているが、こういう日々こそ食には気を遣わねばならない。近頃は意識して、納豆、オクラ、山芋、メカブ、等々の所謂「ねばり食材」を摂るように心がけている。ねばり食材のネバネバには特有のパワーが有ることが知られている。納豆菌には腸内環境を良好にする要素があり夏季の便秘解消にはとても効果的である。タンパク質豊富であり疲労解消の栄養素ことビタミンB2も豊富に含まれているオクラに含まれるネバネバ成分はペクチン、アラピン、ガラクタンという食物繊維が元になっており、此れまた腸内環境の正常化にとって無くてならないものなのである。
常時食材として置いておくことにより、夏料理との相性ともすこぶる良好となるのだ。例えばご飯にかけてもそのままさっぱりと味わえる。素麺や冷やしうどんの具材としては申し分がない。この季節こそ冷蔵庫にねばり食材は常備すべしと心得ているのである。
地元の古書店にて「20世紀のはじまり◯ピカソとクレーの生きた時代」を発見して思わずに購入。同美術展のカタログを目にして購入したのは何よりも、表紙絵のクレー作「リズミカルな森のラクダ」に魅入ってしまったことからだった。クレーの此の作品は懐かしい遭遇だった。数年前には同展覧会のニュースに接していきたかったが行けなかったというイベント展の図録を目にして迷うことは無かった。帰宅して改めて眺めていたのだが、初めて目にするクレーの作品があふれており、何回、何十回とページをめくっても飽きることが無い。クレー作品ファンとしてのおいらにとっては、貴重な一冊になること間違いない。
購入した地元の古書店「佐藤書房」はおいらも行きつけの店であり、豊富な古書を廉価で販売している。しかも毎日のように店舗前のワゴンセールが開催されて、毎日そのセール品の内容が変わっているのだ。だから毎日のように通っても決して飽きることなど無いのである。
■佐藤書房
東京都八王子市東町12-16
TEL: 042-645-8411
http://satoushobou.sakura.ne.jp/index.html
先日は夏野菜のスープを作って味をしめたのであり、その延長で今宵もまた夏野菜スープを仕込んでいる。茄子、ピーマン、等々に加えて先日は調達できなかったセロリを加えて、より夏度が高まったと云えよう。茎の部分の瑞々しさと葉の部分の青々しさがとても夏野菜スープにとってはマッチングしており、影の主役級の味覚的存在感が味わえる。
スープを作ってみたところ其等の青野菜の具材を、煮込みハンバーグの具材として利用することが出来ることを発見。直ちに試してみたところ、なかなかの好印象を抱くこととなっていた。
作ったのは煮込み仕立てのハンバーグであった。即ち焼きハンバーグとは少々異なる味付けであり、さっぱりとして青々としたソースがまるで日本料理のような出来栄えだった。夏野菜スープを使った料理はまだまだ活用が可能である。
八王子駅南口からすぐの「小太郎」にて一献。小太郎とは地元の串焼き店での有名店であり、一番の呼び声も高い。今年に入って店舗が移動しており、より広い場所にて営業が開始されている。
この店でおいらがほぼ必ず注文するのが、「玉ねぎベーコン巻き」である。玉ねぎというありふれた食材をベーコンで巻いて串焼きにして出されるのだが、付け合せの専用ダレが絶妙でこれにはまってしまった。ベーコンの脂が玉ねぎに染みて、ポン酢よりあまくさらりとしたタレと相まって、頬がとろけるような味わいなのだ。
美味い焼き鳥、モツ焼きを味わうならば「塩味」よりも「タレ味」だろう。以前に掲示板上で議論に上ったこともあるが、人気ある店の「タレ」にはそれぞれに個性的な工夫が存在するものである。甘ったるかったり水っぽかったりするタレ焼は論外であり、そんな店の焼き鳥は2度と食べたいとは思わない。換言すれば、美味いタレ焼を出している店は、それが故に常連としてしばしば足を運んでしまうことになる。それくらいに「タレ」とは重要な味の要素、店選びの肝となるものなのだ。
■小太郎
東京都八王子市子安町1丁目2−1
夏には夏のスープが欲しくなるのである。本日おいらがつくったのは、夏野菜スープ。冷蔵庫に眠っていた野菜に加え、地元の八百屋で仕入れてきた夏野菜で、夏野菜スープをつくった。用意したのはゴーヤ(にがうり)、ナス、トマト、ズッキーニ、カブ、パプリカ、等々。それらをたっぷり1cm程度のザク切りにして鍋に入れ、軽く炒めた後20分程度じっくり煮込む。味付けは塩、胡椒とコンソメスープとで、すっきり酸味がのどを潤すように、シンプルにまとめるのがポイントだ。ズッキーニ、パプリカ等の西洋野菜はトマトスープにすればとてもまろやかに味わえる。多めにつくって冷蔵庫で保存しておけば、スパゲッティのソースにもなる。簡単でいながらとても重宝する夏の定番メニューである。
主役はやはりゴーヤであった。ゴーヤの表面にある濃緑色のイボイボは夏の汗を象徴するかのように強力なエネルギーを連想させるに充分であり、その独特な苦さとも相俟って、夏には欠かせない食材として定着している。主産地が我が国最南の沖縄であることも、そんな存在感を強靭に後押ししている。
ホタテ貝の炭焼きを食した。二枚貝であるホタテの上手な焼き方を傍で眺めつつ、その貝柱の独特な食感と風味に舌堤を打っていた。
ホタテ貝は季節にほぼ関係なく出回っているのだが、殻付きの生のホタテを味わう機会はまれにしかない。であるからこそホタテの焼き方や味付けが気になるのではある。
バーベキューの食材としても利用されているが、そんなところでの大味なホタテよりも、炭火で時間をかけて焼き込んだものの方が上手いことは云うまでもない。
一回ひっくり返して味付けをするのが基本的な調理法である。その味付けは醤油と味醂が基本であるが、他のものもあっても邪魔でしかない。そういう料理が「ホタテ焼き」だということなのではある。
たっぷりの夏野菜を使って「麻婆夏野菜」をつくった。夏希につくるおいらの麻婆料理は年々進化しつつある。調味料や調理法は「麻婆茄子」そのものだが、茄子に加えて用意した具材は、トマト、ピーマン、そしてエシャレットである。トマトとともに今回はエシャレットを具材に用いてみたら、これがとてもうまく調和しており、且つインパクトも充分な出来栄えだったのだ。4種類の代表的夏野菜をそのまま麻婆料理的に調理したら、トマトの酸味やエシャレットの清冽さが効いていて、とてもさっぱりとしており、暑気払いにはもってこいの味わいなのであった。とてもお勧めの一品である。
オリジナルメニュー「麻婆夏野菜」の調理方法は「麻婆茄子」のレシピと基本的に違いは無い。食材としてトマト、茄子、ピーマン、そしてエシャレットを用意する。通常はネギを使用する所だがネギの代わりにエシャレットを用いることがミソとなる。ひき肉を少々加えるのが中華風だが無くてもかまわない。調味料は豆板醤、甜麺醤、とろみの片栗粉が基本、これに味噌を少々加えれば日本人向けのこくが出る。至極簡単であり、トマトの酸味と麻婆の辛味とがよくマッチして食欲を刺激するのである。
上に示した写真は豚のモツの刺身也。部位はハツとレバーである。何時からだったか牛のレバ刺しの提供が法律により禁止され、生のモツを食べる機会が極度に減ってしまった。今ではごく稀に豚モツの刺身に遭遇することがあるので、そんなモツ刺しを探すなどして下町散策にもいやがおうにも興趣が高まるという訳である。
スカイツリーの城下町風情の趣きを漂わせる押上近辺を散策してふと立ち寄った「松竹」という居酒屋は、まさにそんな興趣を満たすには最適なる店だった。古からもつ焼きが評判の同店なのであるが、昨年にかねてより焼場をまかなっていた前の女将が引退したことにより、今の女将の時代になり焼き物は止めたということなのだという。今どき珍しい、もつ焼きが無いモツ専門の居酒屋なのである。
カウンター中心の、十人少し入れば満席になるという小規模の居酒屋店にて、現女将ひとりでは立ちいかなくなったという。そんな事情が関係してなのか、新鮮な豚のモツ刺しには遠くから訪ねても口にするだけの存在感がある。
モツ刺し以外に食べた「レバカツ」「モツ煮込み」は、下町の良き味わいを感じさせて納得の味わいだった。東京下町の居酒屋で、しかも蒸し暑い空間にて口にしたモツの刺身は、下町に来る度に口にしたいと感じさせるに充分だったのである。