青柳とはアサリやハマグリに似た二枚貝だが、いま一つマイナーな貝である。別名「バカガイ」とも呼ばれており、二枚貝の殻の中からオレンジ色の身を覗かせており、あたかも馬鹿な貝が舌を出している様子からこの呼び名が付いたとも云われている。今日はそんなバカ貝こと青柳のぬたにありつくことが出来たのだった。刺身でも食される此のバカ貝は食感もまたつるっとして独特の風味を感じさせてくれる。決して侮れないこと請負である。二枚貝の外見はと云えば、蛤にも似ており、其の昔は江戸前寿司ネタの主要アイテムであったと云うことだが、最近はそんな姿を隠してひっそりとしており、マニアックな食通の舌を唸らせるかのごとくである。
今回のぬた料理は、酢味噌を和えて食するメニューだということが特徴なり。ネギとワカメが添えられていて、三位一体の食材的ハーモニーがその旨味を際立てている。ぬたの調味料としての酢味噌はおいらにはとても甘いように感じ取れたが、バカ貝やネギなどの食材が此の甘味によく似合うということなのである。とろりとした甘い酢味噌味のおかげで、バカ貝が季節の旬のメニューに生まれ変わったと云えるのかも知れない。