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同書の翻訳単行本が我が国で初版されたのが1996年というから、今から18年も前のこと。以来実売部数50万部という売れ行きを記録し、さらに2011年には文庫本が発行され、読者を増やしている。おいらも初めて同書単行本を書店で目にし、何度か立ち読みを試みたことがあったが、実際に購入して読破したのはつい最近のことであった。身近な人間による頻繁なる虚言に翻弄されたという経験が、同書とあらためて向き合ったきっかけでもある。
著者のM・スコット・ペックは、米国の著名な精神科医として活動し、「愛と心理療法」という著書によりベストセラー作家の仲間入りをしている。同書が米国にて上梓されたのが1983年というから、既に30年以上の年月を経過したことになる。古典的な精神医学書の一冊と云って良いのかも知れない。著者自らの精神科医師としての体験が基本となっているからなのか、詳述されているエピソードの夫々の記述は、とても細かくときに煩わしくもあるくらいだ。特に1章目に展開されるエピソードについては、それが本書のテーマである「虚言」等に関連するものとは思えないままに、ある種の戸惑いとともに読書を進めて行ったという経緯がある。まるで人間心理の闇に対しての考察が不届きなのではないのか? 精神科医といった肩書きは目くらまし的な代物なのではないか? あるいは期待外れの如何様書籍なのでは? 等々と云った疑いが持ち上がっていた。「悪魔と取引した男」という章のくだりである。そんな疑いは実際には2章以降を読み進めて行くことにて氷解されたと云ってよいのである。