先日は「ピカビア展 FRANCIS PICABIA」の画集をゲットしたのだった。フランスの画家、フランシス・ピカビア(FRANCIS PICABIA)の画集を、思いがけなく地元の古書店にてゲットしていた。1999〜2000年にかけて我が国で開催されていた「ピカビア展」の作品をまとめたものである。
ピカビアとは、20世紀芸術家の巨頭ことパブロ・ピカソと比べては2年程前に生を受け、前衛芸術家としてキュビズムやダダイズムの影響を多大に受けた後に、独自の展開を遂げた、希有な作家であった。
おいらもフランシス・ピカビアには以前から特別に注目し、影響をも受けていたが、なかなかまとまった作品世界に接することがなかったのである。今回は地元の足繁く通う古書店で同書をゲット出来たことは、近頃における行幸のひとつと云って良いのだろう。
画集の中には、修業時代のものから始まり、キュビズム、ダダイズムの影響を受けた後の様々な作品群がまとめられている。ピカビアの個性が光る作品群についても「怪物の時代」「透明の時代」「模索の時代」「具象の時代」「抽象の時代」とそれぞれにマーキングがされてあり、とてもアグレッシブにスタイルを模索していた作家の苦悩を見て取ることが出来る。スタイルというのは一過性のものであり、つまりは生涯をかけて様々な試みにチャレンジし続けていたアーティストの指標を見ることが出来る。
そして、ピカビアの魂に通ていしていたテーマはといえば、人間存在だったのではないかと思うのである。人間存在がアートのテーマにあり続けている。このことが画集全体から浮かび上がって来る。様々な肉体的表情から、喜怒哀楽全ての人間存在の表情が浮かび上がって来るのである。
ピカソやダダイストたちの影響を受けながらも、自らのスタイルを模索して作家活動を継続していたピカビアの作品を観るにつれて、アートはスタイルを超えること、スタイルを壊すことから成り立っていることを再認識させていたのである。