秋田県「乳頭温泉郷」への旅に出た。長かった夏も終わったはずだというのに、東京都内では一向に秋の気配を感じない。ならば紅葉を追いかけての旅も一興と思い、発作的に新幹線のチケットを手に入れていた。予想は的中して期待以上の紅葉の絶景的風景を堪能することができた。
田沢湖駅から田沢湖湖畔までは黄色に滲んだ樹々が目についたが、田沢湖から山道を進むに連れて赤々とした樹々の群れに迎えられることとなっていた。地元の人の話では今年の紅葉は例年より遅く、色づき始めたのは1周間ほど前からだったといい、今が真っ盛りのピークだということである。
目指したのは乳頭温泉郷の中で最も奥深い場所に位置する「黒湯温泉」。もう少しして11月中旬を過ぎるころになるとこの宿は、雪に閉ざされ休館してしまうのであり、投宿は今ならではのチャンスだった。バスを降りるなり冷たい風に吹かれたが、露天の湯に浸かれば身も心も温まることができた。涼しい風は肌に気持ちよく、秋の季節ならではの温もりである。