夏休み休暇で岩手花巻の「大沢温泉」を訪れた。ご存知のように宮沢賢治が愛した温泉として有名であり、未だに幅広いファンを持つ名湯である。
新花巻駅で新幹線を降り送迎のバスに乗り込んだところ、都内で「賢治の学校」を運営している鳥山敏子さんが同乗していて、車内で色々と面白い話を聞かせてもらった。在来線の花巻駅からはたくさん乗車してきたのだが、その中には今の教え子だという小学生とその母親がいて、前列に陣取ったグループで話の華を咲かせていたのだ。この日は全国中から「賢治の学校」関係者が大沢温泉に集ってイベントなどが行われるようだ。72歳になるという鳥山さんだが、生徒たちと担任という関係で未だ教育の現場で活動しているエネルギーには感服させられたのだった。
温泉に着きおいらは「菊水館」という別館に投宿。茅葺屋根の木造田舎風建物が旅情をそそる。館内には賢治さんが幼かった頃に家族ら大勢で撮影した記念写真が飾られていて、賢治ワールド満開である。宮沢賢治の文庫本でも用意してくるべきだったと悔やむがいまや遅し。賢治さんが愛した温泉の湯に浸かって空を眺めつつ、賢治ワールドに浴する貴重な時間を愉しんだのだ。