六本木の国立美術館で開催している「アンドレアス・グルスキー展」という一風変わった展覧会へ足を運んだ。
■アンドレアス・グルスキー展
会場 国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主催 国立新美術館、読売新聞社、TBS、TOKYO FM
会期 2013年7月3日(水)~9月16日(月・祝)毎週火曜日休館
開館時間 10:00~18:00 金曜日は20:00まで 入場は閉館の30分前まで。
料金 当日 1,500円(一般)、 1,200円(大学生)、 800円(高校生) 前売/団体1,300円(一般)、 1,000円(大学生)、 600円(高校生)
写真作家のアンドレアス・グルスキーは、1955年に旧東ドイツのライプツィヒで生まれ、幼少期に西ドイツに移住。1977年から1980年まで、エッセンのフォルクヴァング芸術大学でオットー・シュタイナートやミヒャエル・シュミットらの指導のもとヴィジュアル・コミュニケーションを専攻し、その後、1980年から1987年まで、デュッセルドルフ芸術アカデミーで写真界の巨匠ベルント・ベッヒャーに師事したとされている。2001年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で大規模な個展を開催し、一躍世界にその名が知られることになった。
今回の展覧会は我が国日本においては初めての個展ということだが、東京都内というより我が国を代表する美術館の広いスペースを使っての大々的な展覧会であり、あまりこうした展示会には接した記憶がない。いわば一風変わった展示会というもの見たさに、興味半分で足を運んでいたのが実際である。
「写真」という一ジャンルの作品でありながら、「アート」だと主張しているらしいのだが、写真が写真のジャンルを超えてそれ以上のものにはなりえないのである。いささか無謀なる主張ではある。
というわけであり、作品展を見回ってみたのだが、おいらは写真展としては邪道だという思いを強くしていた。デジタル処理やらというオリジナリティを侵害するようなものを公然と主張している。こんなことは写真界にはかつてなかったことではある。「写真」というメディアが存在する基盤もを否定するかのような主張には、はなはだ倦厭の情がたぎりたっていたというべきであろう。
写真というものは写真であり、デジタル処理を施して「アート」になるなどということはありえないのである。こんな物事の基本的な真実をないがしろにするような展覧会にはガッカリ至極なのではあった。