空梅雨は紫陽花に似合わないのであり、花を咲かせていた近くの紫陽花もいまひとつの様子。カラカラに乾燥しきった紫陽花は成熟しきれないままに生を終えるかのごとくにもまみえていた。空梅雨では見頃も訪れずに終わるのかと慨嘆しかかっていたそんなとき、台風の影響からくる数日前からの雨模様で都内は濡れそぼっていたのであり、近くに咲いていた紫陽花も息を吹き返していたのだった。
薄いブルーから次第に濃度を増していき、成熟期には葉脈から瑞々しい水分の通路かのごとくに潤っていく、そんな紫陽花の生態を今年もこの目に収められたことはラッキー至極にござ候ふなのであった。