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本屋大賞にノミネートされたという話題の「世界から猫が消えたなら」(川村元気著)を読んだのだ。
「世界から猫が消えたなら」という著書が本屋大賞にノミネートされたということで、おいらもずっと気になっていたのであり、先日はそれを購入して読み進めていたという次第なのではある。
何に引かれたかといわれれば、帯にあった推薦文の数々。秋元康、角田光代、小山薫堂、中谷美紀、等々の著名人たちがそれぞれの言葉でアピールしている。これは何かあるのではないか? と、期待がたかまっていたことは隠せない。角田光代さんなどは「小説だが、これはむしろ哲学書なのではないかと思えてくる。(中略)なぜ私たちは映画を見てわくわくするのか。なぜ私たちは絵画を見て涙するのか。そうしたことの答えを教わった気がした。」というくらいに絶賛のコメントを寄せている。これはもう読むしかないという気分にさせるに充分だったというしかない。
さてさて実際に読んでからの読後感はといえば、けっして悪いものではなかったのだが、少々の拍子抜けの思いが強かった。その一つは、書中におけるその軽い言葉遣い。例えば女子高生ギャルに対して男子が受け答えする返答の軽々しさにも等しい言葉が羅列されている。登場人物の台詞
といった限定的なシチュエーション以外で、それらが多用されていたのには辟易していた。軽々しい言葉を操る流行作家という評価が値すると思っていた。
哲学的思索と軽々しいギャル言葉がまじわって、多くの文学ファンを惹きつけたという点においては大いに評価に値すべきであろうと思われる。けっして否定したり貶したりする意図はないのであり、今後の執筆活動に大いに期待を抱いているのである。
作家のプロフィールをのぞくと、映画プロデューサーとして著名な映画に関わり、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞したとある。出版元の飾りつくろったプロフィールの類ではない。やはりこの作家は只者ではなさそうだ。