ワカサギが旨い季節となった。冬のワカサギは厚い氷の下にひっそりと生息し、脂も旨みも充分に乗っている。このワカサギも多分、上州の榛名湖の湖底に生息していたものたちであろうという想像をたくましくしつつ箸を運ぶと、湖底のエキスさながらの苦味のエキスが口腔内を取り囲むように広がっていくのだ。「ワカサギの天ぷら」というメニューを見かけて注文したときに店員から返ってきた言葉は「フライもありますけど…」というものだった。絶対にフライなどにはして欲しくないおいらは、ちょっぴりむきになって強く「天ぷらが良いです」と伝えていた。ワカサギはフライよりも天ぷらにかぎるのである。