菜の花が一面に咲き誇る風景を故郷ではよく観たが、東京の街中ではなかなかそんな勇壮な風景にお目にかかることはない。その代わりにか、菜の花の蕾が凝縮した菜の花料理に接することがしばしばある。今の時期は千葉県などの温暖地の菜の花だろうか、これから群馬をはじめ北国の花が、黄色い絨毯のような満開の花畑をかたちづくるのだろう、とそんなことを想像しながら、菜の花料理を味わっている。
菜の花料理の多くはお浸しとして提供される。中でも和辛子でピリリとさせた醤油ベースの調味料が添えられたものがスタンダードとなっている。辛味がでしゃばってはいけないが、ピリリとした辛子の刺激は、幼い生命力が満ちた蕾のお浸しには絶好の取り合わせではある。